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平成17年2月6日(日) 名鉄ニューグランドホテル
●主催:愛知産業大学
| ●講演者: | 講演 I 部 | 延藤 安弘氏 |
| 講演 II 部 | 仙田 満氏 |
社会造形の視点から新しい「建築」を学ぶ場として、本年4月に開設される愛知産業大学大学院(造形学研究科建築学専攻)。同研究科に教授として就任する延藤安弘氏、仙田満氏2名が、会場一杯に詰めかけた聴衆を前に記念講演を行った。内容は、これまでのキャリア、研究の視点が際だって個性的な両先生ならではのもの。“建築”が持つ可能性の広さを伝えていく場となった。
社会造形の学としてのコミュニティ・デザイン───対話と協働の育み───
| ・延藤 安弘氏 | NPO法人まちの縁側育くみ隊代表理事 |
| 平成17年4月本学大学院教授就任 |
20世紀の100年間に人間が破壊したもの。それは“人間というシステム”、つまり必要に応じて他人の眼差しに見守られながら、恵まれた環境の中で人間らしい生活を送ること。それを回復、再創造するためには何が必要かを問いかけ、答えを明らかにしてきたのが延藤教授の歩みである。
失われたものを取り戻すために必要なものを、教授は“まち育てとしてのコミュニティ・デザイン”であると提唱する。それは、市民、行政、企業などとの協働により環境(自然環境だけでなく、文化や産業、制度、情報などの生活環境も含む)を育むことで、関わる人間の意識や生活、空間も育まれていくプロセス。対話を通してよりよい生き方をともに目指すことで、初めて実現できることである。
自ら幻燈プログラムと称する数々のスライドでは、その実践活動が紹介された。まちの魅力づくりに懸命となる住民といっしょに“まちの宝物探し”を行いながら、地域社会資源活用によるコミュニティ・デザインをカタチにした高知県赤岡町の例。複合的な福祉センター設計に市民とともに参画し、市民同士、さらには行政や設計者などと徹底した対話を繰り返すことで納得できる施設を完成させた千葉県四街道市の例。さらに、住民たち自らが暮らす空間を、いかに楽しく豊かにしていくかを長い歳月をかけて考え、数々の活動を行っている京都市のコーポラティブ住宅の例。それらは、「探検!発見!ほっとけん!」と延藤教授が自らを語る通り、丁寧に、熱く、人々と行動を共にすることでまちを育ててきた、何よりの証であった。
地球環境建築をめざせ───挑戦する心を育てたい───
| ・仙田 満氏 | 東京工業大学大学院教授 |
| 平成17年4月本学大学院教授就任 |
環境デザイン。いまでこそ良く耳にするこの考えを1960年代後半から実践し、独自のモデルである遊環構造(循環する動線に近道やちょっとしたパニック状態が体験できる遊びの要素が組み込まれた構造)を形にした遊具や遊び場、さらには大型の建物にいたるまで、数多くの作品を創造してきたのが仙田教授である。
教授は、環境デザインとは空間的な関係、時間的な関係、社会的な関係が絡む“関係のデザイン”であると言う。何かをつくろうとすれば、周りの空間への配慮が必要となり、歴史的な景観や地域の様々な慣習も無視することはできない。重要なのは、すでにそこにある物語を大切にデザインする態度であり行動なのである。この考えは、まさに21世紀のいま必要とされている視点である。
教授は、これから建築を志す人々への提言として「地球環境建築家をめざせ」と語る。自己から他者へ。内側から外側へ。過去から未来へ。地域から地球へ。こうしたベクトルの方向性は、これからの地球への優しいまなざしを備えた建築「世界を望む家」という建築コンセプトに結実する。海と一体化したような水泳競技場「東京辰巳国際水泳場」、隣にある240ヘクタールもの沼を最大の展示場という考えを基本とし、周囲の地形を復元、樹林を再生した場所に建つ「茨城県自然博物館」、天気のよい時はドームを開き、周囲の環境を取り込もうと意図した野球・サッカー競技場「但馬ドーム」───。これらの作品は教授の考えを最もよく表すとともに、地球環境建築憲章、さらにはこどものための都市・建築12ヶ条という憲章を積極的に広めていこうと活動している意志を私たちに伝える実例となっている。 |