【歳時記 〜季節の言葉〜】
春たけなわの4月。桜の便りが聞かれるようになり、いたるところで美しい花が目を楽しませる。桜は日本の国花、絢爛(けんらん)と咲き、潔く散る桜が、日本人の美意識に適(かな)い、桜を愛でる「桜文化」が日本文化と精神風土に深く根付いていったと言われる。まず、早春にいち早く咲くのがヒガンザクラ、ついで仲春にソメイヨシノ、ヤマザクラ、晩春にヤエザクラと日本列島は南から北へと桜前線が北上していく。また、4月は「入社」、「入学」、「学期」・・・など、「新」がつく言葉の目立つ季節。日本中で多くの人が、新しい環境、新しい気持ちで決意を込めてこの桜を見上げる。
○『桜(さくら)』・・・4月(春)
バラ科の落葉高木。秋の月、冬の雪とともに日本人にとつて、代表的な詩材であり、俳諧において花といえば桜をさす。
朝桜みどり児に言ふさやうなら (中村草田男)
手をつけて海のつめたき桜かな (岸本尚毅)
ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな (村上鬼城)
八重桜ちぎって落とす風と逢い (山口青邨)
○『若草(わかくさ)』・・・4月(春)
春の草のことであるが、その若々しく柔らかな感じをとらえたものである。その新鮮なイメージはまさしく春にふさわしい。
若草に牧夫も牛も染まりけり (村山古郷)
若草や蹄のあとの水たまり (会津八一)
若草や水の滴たる蜆籠(しじみかご) (夏目漱石)
若草に置かれてくもる管楽器 (小島 健)
※中村草田男(なかむら くさたお) 1901〜1983
※岸本尚毅(きしもと なおき) 1961〜
※村上鬼城(むらかみ きじょう)1865〜1938
※山口青邨(やまぐち せいそん)1892〜1988
※村山古郷(むらやま こきょう)1909〜1986
※会津八一(あいづ やいち) 1881〜 1956
※夏目漱石(なつめ そうせき) 1967〜1916
※小島健(こじま けん) 1946〜
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