経営学部 総合経営学科
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小野 琢 准教授

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小野 琢 准教授
企業体制論・企業の社会的責任(CSR)


オノ タク
「企業と社会」の在り方についての研究。
明治学院大学大学院経済学研究科 博士後期課程単位取得。

企業体制論、企業と社会の問題を中心に研究を進めていらっしゃる小野琢准教授。その素顔は非常に多趣味でいらっしゃいます。グルメ情報誌でチェックして飲食店巡りをすること。また鉄道、特に私鉄を中心に興味をお持ちです。さらに音楽はR&Bがお好きで毎月CD購入にはかなり費やすとか。そんな小野先生に最近特にクローズアップされている企業の社会的責任(CSR)についてお話を伺いました。

先生の研究テーマでもある企業の社会的責任は最近急に騒がれていますが。
最近になって、CSRが流行語みたいになっていますが、もともとCSRの考え方のルーツをたどってみると、キリスト教の教えの中にある、「権力の行使には義務が伴う」という考え方が根本にあります。日本でも江戸期近江商人の「三方良しの精神」にもあるように、最近急に現れた概念ではありません。経営学界においても、企業と社会、あるいは経営と社会というテーマで30~40年も前から著作も出ています。CSRという言葉が日本で語られるようになったのは、10年以上前からでしょうか。森本三男先生の『企業社会責任の経営学的研究』という著作の中で、社会的責任のことをCSRと呼び始めたのがきっかけかと思いますが、ビジネス雑誌にまでCSRがよく出てくるようになったのは、21世紀に入ってからですね。
最近急に騒がれるようになったのはなぜですか?
やはりバブル崩壊とそこに至った背景が大きな要因ですが、冷戦の終焉も微妙に絡んでいるのです。これまで右肩あがりで成長を続けてきた企業の収益が減少してきたことや、土地資産の暴落などからリストラが盛んになりました。結局リストラの過程で整理対象となった人にとっては、企業の都合に振り回されたわけです。また80年代後半メセナが盛んでしたが、バブル崩壊のために下火になってしまいました。所詮はメセナも企業の宣伝行為の一つに過ぎないのではといわれ、その事も含めて企業のやっていることは非常に無責任なことが多いのではないのかという批判が噴出してきたことが、最近のCSR ブームを巻き起こす一因でもあります。他方では冷戦の終焉によって旧ソ連圏の共産政権が崩壊して、中国なども含めて一気にアメリカ主導の市場経済に組み込まれることになり、全世界的にグローバリズムが広がっていきました。その結果、一般的には労賃を始めとしたコストの安いところで物を生産して、完成品を輸入して販売した方が日本やアメリカなど先進国で生産するよりもはるかに安くなるわけです。全世界的に競争が広まっていく中で、ちょっとしたきっかけによっても企業は敗残者に陥る危険性を膨らましていきました。そのなかで、いかに競争に勝ち抜くかというところで、いろんな手法を企業も編み出さざるを得なかったのです。トヨタはカンバン方式を徹底化し、シャープは液晶に経営資源を集中するなど、何らかの特色を出した企業が勝ち残るようになりました。同時に競争の激しさは勝者と敗者間の格差を拡げることにつながりかねないので、企業行動の在り方そのものにも厳しい目線が注がれるようになり、ライブドアのようにCSR 的な観点にもとるとされる企業が(発覚した途端に)一気に叩かれるようになっていきました。今は発覚した時点で社会的信用は一気に失墜する時代。CSRは経営戦略上欠かせなくなってきています。

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CSRに対して企業はどう対応すべきですか?
最近では、ISO14001の環境基準の取得ブームも浸透していますし、たとえば植林事業に力を入れているイオンなどのように環境に配慮した企業作りというイメージの向上に取り組んでいる企業も多いですね。CSRという観点がそれだけ大切であることの証明でもあります。一番重要なことは、あたりまえのことをあたりまえに実行すること。これが分かっていても実行するのが難しいのです。社会的責任の概念のうちの一つに社会性責任というものがありますが、これは企業が永続発展、ゴーイングコンサーンをめざしていくこと。言い換えれば、日々の企業の業務のあたりまえのことをあたりまえに実施することであるといえます。それを守らないために粉飾行為のような誘惑に負けてしまうわけです。これが露見したときのダメージは非常に大きく、トータル的に見ればコストは高くついてしまいます。第2の概念として公益性責任がありますが、企業は利害関係者との関わりを持っていて、利害関係者すべてとの利害調整をいかに図っていくかという責任です。企業規模が大きくなればなるほど、利害関係者との関わりも増えてきます。三菱自動車リコール問題の場合は、地域社会、全体社会と間近に関わっていることが頭では分かっていたのかもしれませんが、結局社内論理が優先するあまりリコールの重要性を深くは認識していなかったのではないだろうかと考えます。
学生にはどんなご指導を?
授業では、あえて必要なことは全部黒板に書いて、全部ノートに取らせるようにしています。自分の手で書くことで、読むだけよりも理解しやすいと考えてのことですが、実際はノートを取らない学生もいるので浸透しきれません(笑)。専門ゼミは企業と社会の関係を中心に学んでいます。実際に今動いている企業がどのように社会と関わっているかを理解させるようにしています。社会の様々なステークホルダーと関わり合ってはじめて企業は生きていけるのだというメッセージを伝えるよう努力しています。この分野は、今学んでも学生にはすぐにはその必要性がわかりにくいかも知れません。その真の意味を理解できるのは、社会や現場に出てから。しかし絶対、10年後、20年後には必ず役に立つ時が来ます。つまらないと思っても自分の将来を信じて学んでいって欲しいですね。まずは、自分の学んでいることに自信を持って欲しいと思います。

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