薩川 恵一 准教授

薩川 恵一 准教授
鉄骨構造学
- サツカワ ケイイチ
- 東京工業大学大学院博士課程修了、博士(工学)。同大学応用セラミックス研究所建築物理研究センター研究員、東京理科大学理工学部建築学科助手を経て現職。鉄骨構造部材の塑性変形能力及び耐震設計を専門とする。最近では、制振構造の部材開発、RC耐震補強構法、免震構造設計法なども行なっている。
2005年4月より本学准教授としてご活躍の薩川先生。最近特に注目の分野とあって、学生の指導にあたる傍ら研究論文の作成など非常に忙しい毎日を過ごしていらっしゃいます。そんな中でも新しい構造の建物があると聞くと、即座に駆けつけて自分の目で確認されるとか。仕事も趣味の一環とのお話もうなずけます。一方その親しみやすいお人柄か、頻繁に研究室に訪れる学生にも親切に対応。丁寧で分かりやすいご指導にも定評があるようです。
- 今のご専門に進まれる経緯について教えてください。
- 研究室所属前に実大の部材を壊す場面を見て、壊れる過程が面白いと感じました。ある建物に対して最適な構造形式を考える学問で、数学と物理の計算が必要になります。数学と物理が好きだったので、自分には向いていると思いました。大学では構造の専門の先生について、実験や研究を行ってきました。研究は鉄骨構造の耐震設計です。最近の研究では、1981年以前に建てられ、耐震補強の必要性がある小中学校の建物に対して、合理的な耐震補強工法などを提案しています。
- 東海地震や東南海地震、南海地震の発生が盛んに叫ばれていますが。
- そうですね。いつ来てもおかしくないので備えは必要です。東海地震は阪神大震災とは異なり、長周期地震といわれています。ですから、阪神大震災の例が当てはまるとは限らないので、長周期地震が起きたときに建物がどうなるのかという予測と、備えるための構法を研究しています。
- 具体的にはどんな研究を?
- 東工大、理科大の経歴があり、そこで行ってきたエネルギー法という考え方を発展させる研究を行っています。これは地震の加速度ではなくトータルのエネルギーで考える理論です。たとえば阪神大震災では地震の加速度は非常に大きい反面、東海や東南海は地震波の加速度は小さくても継続時間が長いといわれています。地震の揺れもゆっくりで衝撃が小さいように考えがちですが、建物が吸収した地震のエネルギーを累積してしまうため、長時間にわたってダメージを与え続けてしまうのです。もちろん建物の高さによっても違いはありますが、地震のエネルギーの吸収もトータルで考えなければなりません。トータルの強さに耐えうる能力が要求されるため、それが当然構造にも関わってくるというわけです。

- 制振構造の部材開発にも関わっていらっしゃるそうですね。
- 柱や梁に弾性に保ったまま、地震のエネルギーを吸収する部材をブレースとして取り付けることにより、建物を守ろうという考え方です。阪神大震災以降より採用されるようになり、今の超高層のビルにはだいたい付加されています。研究ではそうした制振構造の部材をつけることによって、加速度が和らぎ、柱や梁にダメージが少なくなるということも実証されています。小中学校の耐震補強工事に使う制振部材をJFEとの共同研究で理科大の先生ともに研究開発しました。まだ実際には使われていませんが、窓枠をはずすことなく外の梁に貼り付けるだけの工事ですむため、工事期間が限られている小中学校には最適な部材です。
- 学生に対してどんな印象を持たれましたか?
- 素直ですね。東京の大学と違って人数も少ないので一人ひとりの学生の顔が分かってコミュニケーションがとりやすい。またうちの学生は分からないので教えてくれとよく質問にくるんですよ。時には人生相談を受けることもあります。授業では、物理や数学が得意じゃない学生向けに、見て分かるように指導することを心がけています。特に鉄骨構造学、構造力学、実験をリンクさせて、計算だけでなく実際にモノを作らせて、力が加わったときにどこにどう力が流れるかとか、建物を持たせるには、何が必要かなど体験的に学べるようにしています。せっかく建築に入ったので、彼らには建築に携わるような職業についてもらいたいですね。業界は狭いので、大学内で人間関係を作っておけば、将来的に一緒に仕事ができるかもしれません。さらに発展して、大学とも相互協力して大きな仕事が実現するのも夢じゃないと思います。在学中、卒業後もいい人間関係をより多く作っていってもらいたいですね。

