諸江哲男 准教授

諸江 哲男 准教授
英語学
- モロエ テツオ
- 玉川大学大学院文学研究科英文学専攻修了。著書『英語・英語教育と人間』。専門は英語学、言語学。日本文体論学会常任理事、日本英語教育・英学会理事。
開学から本学で教鞭を執っているという諸江准教授。友人を通じて知り合ったという「福祉工房あいち」代表の加藤源重氏による万博出展のサポートを呼びかけると、多くの学生が集まってくれたといいます。まさに先生のお人柄によるところが大きいと推察しました。お話を伺っているうちに、専門である意味論にも通じる“人間らしさ"の大切さが充分に伝わってきました。
- デザイン学科ではどんな授業を行っているのですか?
- 一般教養としての英語を教えています。英語もデザインも伝達するという意味では同じ。色や形と文字という記号が異なるだけでコミュニケーションという点で共通点を持っています。授業ではそういった部分を意識しながら教えています。小説家になろうと思った時期もありましたが、英語をやってみたら面白かった。専門は意味論、つまり意味の意味を探っていくこと。説明すると難しくなりますが、いわゆる言語の解釈を考える学問です。今、来年出版予定で英語学の研究書を共著で執筆中です。
- 今回「福祉工房あいち」代表の加藤源重氏の万博出展のサポートをコーディネートされたそうですが。
- 「福祉工房あいち」代表の加藤源重氏は友人からの紹介で知り合いました。昨年、原山祭でも講演をしていただき、そこで感銘を受けた学生が多かったですね。そのあと2月半ばに「福祉工房あいち」から、愛・地球博瀬戸会場の市民パビリオンで、加藤氏が制作した障害者向けの補助具を出展するので手伝って欲しいとの連絡をもらいました。学生に話を持ちかけたところ35~6名が手を挙げてくれました。すべてまかせてもらえたので、私はコーディネートの立場で関わり、具体的な活動は全部学生が行いました。ポスターやパンフレット、タッチパネルの制作から、展示ブースの企画、現場でのサポートまで本当によくやってくれましたね。また自分にとっても今までにはない貴重な経験をさせてもらったと思っています。
- 先生のおかげで加藤氏にとってはもちろん、学生にも大きなメリットとなりましたね。
- 最近の学生はマニュアル化された教育を受けてきたためか、自分の考えを持っていないという感じがします。だから、一旦壁にぶつかると解決できないことが多い。課題を与えられればできるが、自分でゼロから考えすすめていくという部分が弱いと思いますね。しかし今回の加藤氏のボランティア活動で感じたことは、熱い心と公共心を持っている学生が多くいることでした。関わった学生は、本当に多くのことを学ぶことができたと思います。技術面は授業でいくらでも教えられますが、ソフト面を教えるのは難しい。今の教育にはソフト面の指導が欠けていると思います。こういった実際の経験こそソフト面を学ぶよい機会になると思います。またデザイン学科の学生にとっては加藤氏の製品も大きな刺激になったと思います。彼の発明はすべてローテク。デザインやモノづくりを学ぶ彼らにとっては、原点にもどった視点でとても新鮮に映ったと思います。
- 今の学生に伝えたいメッセージはありますか?
- それはヒューマニズムですね。高度成長期に忘れ去った人間らしさを、これからの社会を築いていく彼らに取り戻していって欲しいと思います。デザインについても、スタイルや機能性以外に“人にやさしい"というヒューマニズムな面も取り入れるなど、多角的な視点で考えて欲しい。ヨーロッパやアメリカのデザインはそういった部分では勝っています。ちょっと視点を変えてみたり、いろんな経験値を積むことでそれは可能だと思います。研究テーマの意味論でも、英語の意味を考えていくとあいまいな部分が多いのですが、あいまいな意味を排除することはできません。なぜならそこにこそ人間らしいコミュニケーションが存在すると思うから。
それから、今まで国際化社会がさかんに叫ばれ、美化されてきましたが、そのことにより日本のすばらしい文化や芸術が若者達から忘れられつつあるのではないかと危惧しています。もっと自分の国を大切にし、日本の文化や芸術を研究した上で外国のものを学んでもらいたいと思います。

