佐々木 尚孝 教授・デザイン学科長

佐々木 尚孝 教授・デザイン学科長
ディジタルデザイン
- ササキ ヒサノリ
- 京都工芸繊維大学卒。
中京大学大学院情報科学研究科認知科学専攻修了。
日本デザイン学会、(社)情報処理学会、日本認知科学会、MEDIASELECT世話人。
前職は公務員として中小企業の指導やデジタルデザインの研究を行っていたという佐々木教授。パソコンが主流になる前、いわゆるワークステーションと呼ばれるコンピュータの前身の頃からデジタルデザインの世界で研究を行ってきたという経歴をお持ちです。進化し続けるデジタルの分野における可能性を追求しながら、学生が現場で使える能力を身につけるための教育が今の目標とおっしゃっています。
- 現在は主にどんな研究をされているのですか?
- 一言で言うと、デザインにコンピュータをどう使うかといったデジタルデザイン教育の方法論です。最近、デジタルメディアのみならず、使う技術そのものもめざましく進化しています。たとえば、1年生で入った学生が4年生の時点では、もう違ったソフトウェアを使っているというような状態が現実に起こっているわけです。目まぐるしく変化するなかで、学生に指導するのに何が重要かということですね。以前は技術を4年間学べば現場でも充分通用したのですが、今では技術はあくまで機械の操作という手段であり、身につけるのはあたりまえで、よりデザイン的な能力が要求されるようになってきました。ですから我々もデザイン部分の指導を重視しています。ユーザビリティを考え社会に対応しうるデザインであることや芸術的な要素、技術への対応の3つの視点から、どうしたら学生がうまく学習していくかといった教育の手法について研究しています。
- デジタル技術の目まぐるしい進歩で教育の方法も変化せざるを得ないということですね。
- この先も進化し続けていくとは思いますが、どこかで教育方法論のベースをしっかり作っておけば、新しいデジタルデザインの領域でもしっかりとした教育ができると考えています。今は、学生がどんな部分でつまずくのかを調べて問題解決を図る学習研究を行っています。具体的には学生の動作や発話をビデオに記録して研究したり、学習掲示板を利用して、学生がどんな情報によくアクセスしているかを分析して問題解決方法を追求しています。私の授業ではマップアンドポジショニング法という実践を行っています。Webサイトの情報を一人10個ずつ上げ、グループで集めたサイトを分析して2次元配置図を作り、自分たちの好む領域や傾向を調べていきます。個人では狭い範囲のサイトしか見ていませんが、グループになると他の人の意見も収集することができます。また20人くらいの集団になるとかなりの情報量になるので、問題発見の資料作りになります。
- 授業ではどんなご指導をされているのですか?
- ディジタルコースで、Webコンテンツにおけるインタラクティブデザインや情報デザインを指導しています。この分野はある程度専門的理解が必要とされるので難しくて敬遠する学生も多いですね。ただ、業界ではWeb需要が高まっていてWebデザイナーの人材不足が目立っています。決してグラフィック作業が減っているわけではなく、メディアミックスで印刷媒体とWebがリンクしたワークが増えているのです。しかしそれぞれの専門性が高まりグラフィックとWebの両方の仕事をこなすのは難しいため、Webデザイナーが独立し、ネットワークを組んで仕事をしているケースが多くなっています。
- これからも変化する分野で先が見えない分、指導も難しいと思いますが。
- 学生が自分たちでどう情報をつかんで、どうデザインを組み立てていくべきかという心構えと方法が重要だと思います。自ら学ぶ主体性を身につけさせるのが我々の役目です。ただ学べというのではなく、方法を与えて自分たちで組み立てて行けるような教育です。技術面も4年間では学びきれないので、たとえばデザインの基本も集中的にポイントだけ押さえて、あとは自分で学ぶように指導しています。しかしそれができない学生については周りの学生がサポートするような協調学習を取り入れています。現場でも最近はグループワークが多いので、対人関係の構築も学生時代に学んでおくべきです。他人の持っている技術や情報をいかにうまく使うことができるかも能力の一つとして要求されますから。
- 学生に期待することは何ですか?
- 社会に出てしっかりと自分の人生を確立して欲しいですね。社会の中できちんとした役割を担い、楽しみながらできるデザインを生業として生活をして欲しいと思います。また最近の学生は好奇心が衰えているよう思います。もっと好奇心を持って、あらゆるものに首をつっこんで欲しいと思います。趣味も必要です。デザイナーとしての視点や批判的な目を常に意識しながら、毎日の暮らしの中で感覚を磨いていってもらいたいですね。

