造形学部 デザイン学科
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佐藤 延男 教授

佐藤 延男の写真
佐藤 延男 教授
プロダクトデザイン、コンピュータグラフィックス


サトウ ノブオ
千葉大学大学院工業意匠学専攻修了。剣持デザイン研究所勤務のあと、本学教員となる。日本デザイン学会会員。

佐藤先生がデザインした食器ブランド『土色彩生』が2001年グッドデザイン賞及び、エコロジーデザイン賞(財団法人日本産業デザイン振興会主催)を受賞され、残念ながら大賞は逃したものの大賞候補6点にノミネートされました。「素人だからできた面もあったんだよ」と語る控えめな佐藤先生は、【土】という素材がもつファジーな部分を製品に彩生(再生)させるため、試行錯誤を重ねられたそうです。

『土色彩生』シリーズが生まれた経緯について教えてください。
良質の陶土資源が少なくなってきていることへの危機感や、自然界への排出物削減を目指して岐阜県美濃地方の製土、食器メーカーや流通企業、デザイナー、技術者そしてユーザーが連携して「GL(グリーンライフ)21」というプロジェクトチームがつくられました。今まで成形技術的に難しいと言われてきた【土の循環・器の再生】に全国でも初めて取り組み、従来食器に比べて環境負荷(CO2の排出量など)を増やすことなく再生が可能なRe-食器『土色彩生』を作ったのです。
製品を造る過程において、どのような点に心を砕かれましたか?
製造段階では人体や環境に有害な物質をできる限り排除すること、成形しやすい形状にすること、使用段階では洗い易いなどのエネルギー削減を考慮して、少しでも環境負荷が少なく、そしてきちんとした 【製品として売れるデザイン】を検討してきました。
これまでのリサイクル商品に見られるような「リサイクルだから仕方ない」といった言い訳めいたデザインでは、ユーザーは購入してくれません。ユーザーにとっては、それが再生の器であるか新しい材料でできた器であるかに関係なく、美しく、使い易く、料理が美味しく見えることが大切でしょう。この『土色彩生』は再生材料からの製品を意識させないクオリティーとシンプルさをデザインコンセプトにしています。日常の食器として購入し、使用していて、ふと気がつくと再生の器だったという【さりげなさ】のなかでRe-食器『土色彩生』の環境配慮につきあってもらえれば良いと考えたからです。
その意味で、今回のデザインはこれから成熟してゆく循環型社会でのリサイクル製品のひとつの在り方の提案でもあるのです。
ユーザーが商品を購入する動機として、デザインは重要な要素ですね。デザインについての「こだわり」を聞かせてください。
具体的なデザインのポイントは、量産に適したシンプルで素直な形状、そして【色彩】であること。家族や仲間での「普段使い」の器で、あくまでも料理の引き立て役としての「控えめだけれどどこか存在感のある脇役的デザイン」を目指したことです。近所のスーパーで買ってきた茄子のお漬け物や冷や奴を盛りつけたとき、艶やかな茄子や少しくずれたお豆腐がちょっぴり得意げに見える、そんな食卓の風景がイメージとして念頭にありました。
形状の特徴は、エッジ部に「あたたかみのある緊張感」とでもいうものを表現すると共に、少し厚くして丈夫さを出し、エッジ以外はできる限り薄く仕上げ、丈夫さの確保と軽量化を図った点です。
今後、「GL21」プロジェクトはどのように発展していくと考えられますか?
このプロジェクトは、陶磁器業界に対して環境負荷低減を図るひとつのデザインモデルを提案し、「環境」をキーワードに、作り手と街や住民、ユーザーとの全国的な連携を育み、新たな市場開拓の可能性を示唆できたと考えています。このような一地域での活動が次の世代に引き継ぐ産地形成のひとつの方向性となっていければ嬉しいですね。

私のゼミ学生達
2001年グッドデザイン賞及びエコロジーデザイン賞を受賞した「土色彩生」シリーズ

(ASU JOURNAL VOL.2(2002年1月発行)に掲載されたインタビューです)

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